ロケーション: ナショナルハイウェイNo. 2 デリー-カルカッタ(ウッタルプラデシュ州)
見どころ: ガート、ベナラス、ヒンドゥ大学観光
ベストなシーズン: 9月~3月
由緒ある古代都市ベナラスは、ヒンドゥー教徒の世界の中心、崇高な巡礼地、そして信仰の小宇宙の中心地として、無数の見どころがある荘厳な町であり、何千人もの巡礼者が、インド各地だけでなく世界中からベナラスに集まります。過去と現在、永遠と連続性が隣り合せに生きている、独特の町です。
ベナラスは、インドで最も神聖な河、ガンジス河の蛇行地点の外側の北岸に始まり、多種多様なインド建造物の荘厳なパノラマを形作っています。聖なる河と町の独特の関係は、「聖なる光の地」ベナラスの本質です。ガンジス河は、天国から流れ出て人類の世俗的な罪を洗い流すと信じられています。したがって、ベナラスにいることは、この世界の外側を経験すること、つまり、自己を発見し、永遠の命を探し求めて現在と過去を旅することなのです。
歴史学者によれば、ベナラスの町は、紀元前10世紀頃に建設されました。ガンジス河の二つの支流、つまり北に向かうバルナ川と南に向かうアッシー川に挟まれたバラナシ(ベナラス)は、永遠の命を得ました。
ベナラスは、仏典「ヴァマナ・プラナ」のような聖典や叙事詩「マハーバーラタ」にも出てきます。ベナラスは別名「Kashi」とも呼ばれ、これはすなわち精神的栄光を意味します。シバ神とパルヴァティ神が「この世のすべての時のはじまり」の時に立っていた場所とされるのがこの「Kashi」なのです。
ベナラスは、何千もの神々の故郷であるだけではありません。ここでは、一年を通じてほぼ毎日、何らかのお祝いが催されています。実際、ベナラスは、途切れることのない色、匂い、音で、神聖かつ現世的な生命の原理を祝っています。また、教育、宗教、文化全ての中心として機能してきたこの地は、インドの長い歴史の中で起こった数々の行事や事件の中心になることも多かったのです。
ベナラスは訪れる人々に、様々な顔を見せてくれます。夕陽や朝陽で赤や黄金に陽炎(かげろう)のようにかすかに揺らめくガンジス川の川面、階段が高く続く川岸、混沌とした町並みの中に連なる寺院の屋根やアシュラムなど、全てが自分自身の奥深くへ浸透するような、素晴らしい経験となることでしょう。
マントラを詠唱する声や、そこに漂う複数の御香の香りに包み込まれて、ガートで身体を清めたり、お祈りをしながら沐浴をする人々のガンジス川の水しぶきを観ているうちに、ベナラスを訪れる人々は無上の喜びへと導かれていく感覚を味わえることでしょう。
ベナラスの伝統技術として名高いもののひとつがシルクの織物です。ベナラスのシルク製サリーに見られる錦織は、世界中のコレクターを魅了して止みません。
豊富で活気に満ちた歴史を誇る永久の街は、優雅に彫刻を施した宮殿や難攻不落の要塞、豪華絢爛な建築物などを一切擁していないにもかかわらず、街自身がもつ固有の魅力だけで現在まで輝き続け、そしてこれからも永遠に栄光の光を放ち続けていくことでしょう。
<主要な見どころ>
宗教関連施設
ガート(沐浴場)
男女、子供を含む何千もの巡礼者が川に降りてきて日の出を待ちます。グループで来る人もあれば1人で来る人もいますが、その誰もが救済という強い思想に心を奪われ、聖なる川に浸ることによって自分の現世の苦しみが浄化され、罪が洗い清められる瞬間を待つのです。
日の出直後、川辺のガートにあるヤシの葉でできた大きな傘の下では、巡礼者が所定の位置につき、朝の張り詰めた全体論的な雰囲気の中、由緒あるブラーミンは、聖典の一節を朗読し、僧侶は、神への崇拝の印に聖なる灰を巡礼者に振りかけ、船頭、花売り、砂糖菓子や小装身具を売る売り子の甲高い声、聖なる雄牛と雌牛が周りをまわり、混沌としたベナラスは、人に人生を顧みさせ、宇宙と死の前での現世的な富の無意味さを考えさせるのです。
ヴィシュワァナート寺院/ギャンパヴィモスク
シヴァ神に捧げられた寺院で、その15.5mに及ぶ黄金製の尖塔により、ゴールデン・テンプル(黄金寺院)として知られています。マハラジャのランジット=シンによって進呈された1トンの黄金が使用されたのですが、この寺院はその後何度も侵略を受け、現在は1776年にインドールのラニ=アイリャバイによって再建された寺院を見る事ができます。
St. メアリー教会
St.メアリー教会には周りと比べて比較的低い尖塔があります。窓のタイルの代わりに教会はルーバーをつけ、コーニスの下にフードのついた通風孔がついています。
ドゥルガー寺院
8世紀にナガラ様式で建てられたこの寺院はベナラスで最も重要な寺院のひとつです。
バハラット・マタ寺院
母なるインドに捧げられた寺院でベナラス駅から1キロの場所に位置します。Babu Shiv Prasad Gupt によって作られたMahatma Gandhi Kashi Vidyapeeで建てられたこの寺院は、市民が母なるインドを尊敬する意味で建てられ、1936年にマハトマ=ガンジーによって開館式が行われました。
Tulsi Manas寺院
Goswami Tulsidaが編纂した「ラマチャリトラマナス」叙事詩に描かれたラマ神の歴史をもとにして、ラマ神に捧げられた寺院で、1964年に博愛主義者一派によって建てられました。
ネパール寺院
ネパール国王がネパール様式でラリータ・ガートの上に建てた寺院で、’Kathwala temple’とも呼ばれています。この寺院の特徴は素晴らしい木工細工であり、世界中からこの繊細な芸術を見るためだけに観光客がやってくるとも言われています。この寺院のこうした彫刻を担当したのはネパールからやってきた職人で、使用される木材もまたネパール産のもので、特に白アリがつかないことで有名な木材です。
Ram Nagar Durg博物館
Kashi Hindu大学から2 km、ガンジス川を渡ったところにある要塞の中には、Kashiの統治者が昔建築したという先祖代々の家があります。この要塞の一部分が博物館になっており、王朝時代の品々が展示され、かつての豪華さを垣間見ることができます。
Bharat Kala博物館
Kashi Hindu大学にある博物館では、歴史上珍重な工芸品や彫刻、写真や絵画、写本など、数多くの展示品のコレクションが見られます。小規模でありながらも非常によく管理されたこの博物館では、古代のベナラスに思いを馳せることができるでしょう。入館料は無料ですが、開館時間の確認が必要と思われます。
その他Nandeshwar Kothi
James Prinsep によってデザインされたNandeshwari Kothiは、19世紀のベナラスの典型的な建物のひとつです。
Benaras Hindu大学
北インドで最も歴史が古く、そして最大の規模をもつ大学で、その広さは2000エーカーに及びます。この大学はPt. Madan Mohan Malaviya によって創設され、現在では芸術、科学、音楽、サンスクリット、言語、工学、統計学そして医学などあらゆる学問分野を学ぶことができます。
大学のキャンパス内にはまた、Birla家によって建てられた、巨大なヴィシュワナート寺院や、あらゆる近代医療設備が整ったSunderlal メディカルセンターを擁しています。
Jantar Mantar天文台
デリー、マトゥラー、ウジャジン及びジャイプールの天文台と同じ原理で、ベナラスにも天文台がJaisinghによって建てられました。1600年に建てられたこの天文台では、現代でも利用価値のあるような、天体の全ての動きを記録したのです。
近郊の見どころ
サルナート
ベナラスから10kmの場所にあるブッダの聖地。ブッダは悟りを開いた後、ここで最初の説教、あるいは仏教徒のいうダルマの輪もしくは輪廻についての説教をしたといわれています。現在サルナートはアショーカ王の時代から12世紀までの骨董品(アンティーク)を豊富に擁する場所として考えられています。
Chunar :
Babu Devakinandan Khatriによって書かれた古典、’チャンドラカンタ’の現在ではChunarとして知られる、Chunnargarhがベナラスから40kmのところにあります。あてもなくさまよって流れるガンジス川の流れに沿って続くKaimur 山の北側斜面にはChnarの要塞がみられます。
Jaunpur :
1360年、Feroz Shahは彼のデリーの統治地区の東側にこの街を建設しました。Jaunpurはベナラスから65kmのところに位置し、Gomti川によって二分された場所をアクバル橋によって連結した場所です。この橋はアフガンによって設計され16世紀に建てられました。15の巨石アーチによって作られたこの橋は、数々の地震や大洪水にも負けず現在まで健在しています。
橋の南側の端にはライオンと象が乱闘している模様の彫刻が施されています。これは街の境界線の印とする彫刻で、Jaunpurの他、Sheetla Chowkia Dham, Yamdagni Ashram, Atla MosqueやChar Anguli ki Masjidなどでもみることができます。
Kaushambi :
ベナラスから185kmの場所に位置するこの街に関する文献は、マハーバートラ叙事詩にまで遡ることができます。Pandav兄弟がここに住んでいたという説や、悟りを開いた仏陀が6世紀と9世紀にこの街でしばしば説教を行ったという説もあります。Kaushambiは仏教の中心地として栄えてきた街であり、古代の要塞跡などからも、壮大な歴史年代記を読み取ることができるのです。
Vindhyachal :
インドには数多くのパワーポイント(Shaktipeeth)があります。神の力が住むと信じて人々がドゥルガー神を崇拝する場所のことで、Vindhyachalはそのひとつです。ベナラスから90kmのところに位置し、Vindhyavasini Devi寺院、Asthbhuja 及び Kalikhohは必見です。
Kaimoorワイルドライフ サンクチュアリ:
ウッタルプラデシュとビハールの境界にあり、その広さは500平方kmあります。
Chandra Prabhaワイルドライフ サンクチュアリ:
1997年に創立されたChandra Prabha サンクチュアリは小規模なもので、78平方kmあります。